人民銀の脅威となる?中国のネット・バーチャル貨幣 2006/11/19(日) 06:55:05 [中国情報局]
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2006/11/19(日) 06:55:05更新 | ||
「バーチャル貨幣『Q幣』が中国人民銀行を脅かすことになる……」 オンラインゲームが大人気の中国では今、こんな噂がささやかれている。 バーチャル貨幣「Q幣」とは、オンラインチャットソフト「QQ」で頭角を現した広州の騰諮公司(テンセント)が提供する決済手段の一つで、同社が運営するサイト上で提供される様々なコンテンツを楽しむ際に必要となる。ユーザーはオンライン銀行や携帯電話のプリペイドカードといったルートを通してQ幣の購入ができる。Q幣と人民元の換算率は1:1、すなわち1Q幣=1人民元。オンラインゲームを楽しみたいユーザーは、1人民元で購入した1Q幣をさらに1:10000の換算率で「ゲーム元」と交換できる。 中国にはこの手の所謂「バーチャル貨幣」がほかにもたくさん存在する。中国三大ポータルサイトもそれぞれ「POPO幣」「新浪U幣」「狐幣」を発行しているし、大型オンラインゲームベンダー盛大網絡の「盛幣」、検索サイト百度(Baidu)の「百度幣」なども人気だ。ちなみに私は「百度幣」を利用している。 本来、これら「バーチャル貨幣」は日本でも流通している「(ネット)ポイント」に似ており、購入したポイントを使用して該当サイトが提供する各有料コンテンツ(付加価値サービス)を楽しむ程度だった。ところが今や中国の「バーチャル貨幣」は単なる「ポイント」の域を超え、現実世界の金融体系と同じく金融危機や通貨の膨張だって起こりかねない状況に陥っている。つまり、バーチャル貨幣と人民元の併用や転売、賭博が横行しているのである。 現在、特に問題となっているのはQQサイト内の麻雀やポーカー、将棋などの対戦型オンラインゲーム上の賭博行為。1ゲームにつき最低5万、6万ゲーム元を持っていることが参加条件であり、手元のゲーム元が足りない場合は人民元でQ幣を購入する。対戦時にはそれらゲーム元を賭け、敗者は勝者に賭けたゲーム元を支払い、プラットフォームを提供したQQサイトにはその内の一部が「シャバ代」として流れているという。 実際、すでにオンラインゲーム以外でもバーチャル貨幣が流通し始めている。バーチャル貨幣と人民元とを間接的に交換できるオークションサイトが出現し、一部商品はバーチャル貨幣で購入できるようになっている。携帯電話料金のチャージも、アンチウィルスのダウンロードもバーチャル貨幣で決済可能になった。 そのようであるから、いくらユーザーが「バーチャル貨幣と交換したゲーム元を使用して、賭博ごっこをしているだけ」と主張してみたところで、「現実通貨である人民元で賭博を行なっていることと同じだ!」「QQは『賭博場』を提供するだけでなく、歩合まで貰っている!」という疑惑が噴出するのは仕方ない気もする。 そういえば、今年開かれたオーディション番組「超級女声」の投票方法にもQ幣が採用されて大きな話題を呼んでいた。 中国国内では今、数十億人民元規模のバーチャル貨幣が流通していて、毎年15%から20%の早さで成長を遂げているという。Q幣による「収入」が100万元を越えたユーザーが出現したという報道まであった。 ここまでくると現実世界の政府が黙っておくわけがない。人民元の発行元である中国人民銀行が次のような回答を出した。 「(将来Q幣が中央銀行と衝突するのでは、という声に対し)中国人民銀行では来年、バーチャル貨幣に関する管理方法を起草、制定する。バーチャル貨幣はオンライン決済に続く管理監督(対象)となるだろう」(中国人民銀行) これに対し、騰諮公司は真っ向から対立する意見を述べている。 「Q幣は中央銀行が指すような『バーチャル貨幣』ではない。弊社がユーザーに提供する関連コンテンツを購入するための付加価値サービスの一種である決済道具にすぎない。弊社が発行するQ幣は中央銀行の管理監督範囲内ではない」 いずれにしても、「バーチャル貨幣の『発行元』が、むやみやたらに貨幣を発行する事態になれば、現実世界の金融体系と同じく金融危機や通貨の膨張だって起こりえる」という学者らの意見にもうなずける。それどころか「Q幣借金」とか「Q幣高利貸」業が横行する可能性だってあるのでは、と私なんかは想像してしまう。 はたしてバーチャルの世界にも政府や中国人民銀行の手が伸びてくるのか。今後の動向が気になるところである。(執筆:まや 第1期サーチナ・サポーター) |