[APEC]「アジア経済連携で問われる日本」戦略を欠いた主張ではないか

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061119ig91.htm
うーん、既に掲げた課題を全てこなせ、という内容ですが、米国とアジア各国双方に警戒心を持たれないように、米国とアジアの間をつなぐのが日本の役割の筈。要諦を押さえていない主張との印象。

 アジア・太平洋地域での貿易自由化をどんな枠組みで進めるのか。日本の経済外交が大きな岐路に立たされている。
 米国は、日中両国がそれぞれ、米国を外した貿易自由化の枠組み作りに動き始めたことを警戒し、FTAAPを提案した。中国を牽制(けんせい)する狙いもある。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国とFTAを締結した中国は、ASEANと日中韓の計13か国による経済連携協定(EPA)構想を提示している。
 日本は、これに対抗し、豪州、ニュージーランド、インドも加えた16か国での「東アジアEPA構想」を提唱した。
 安倍首相は、米国提案に対し、「重層的な取り組みの一つとして、検討することは有意義だ」と前向きに評価した。
 日本案とFTAAPを、どう関連づけて実現を図るのか。他国の姿勢にも目配りしながら、判断する必要がある。

 関係強化の原動力となるEPAの締結国は、シンガポールなど4か国にとどまる。経済財政諮問会議は、締結国を増やすため、EPAの工程表を見直す方針を打ち出した。
 交渉中のASEANとの早期合意、中断している韓国との交渉再開、農業国・豪州との交渉開始など、当面の課題を着実に前進させていかねばならない。
実績を積み重ね、より大きな構想に弾みをつけることが現実的だろう。

 それには、市場開放に耐えられるよう国内の構造改革が欠かせない。とくに、農業の競争力強化が急務である。
 APEC首脳宣言は、今夏決裂した世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の重要性も強調した。日本は、新ラウンドの早期再開でも主導権を発揮すべきだ。